ibeaconとestimote
ibeaconで話題になったY Combinator出身のビーコン端末スタートアップestimote社が3.1Mのシード調達を行ったようです。
iBeacon Pioneers Estimote Raise $3.1M Seed Round / Techcrunch
プライメッジでもibeacon関連は注目しており、estimote社の開発者用キットを入手しております。11月の配送開始から既に10,000人以上の世界中の開発者に届けられたそうです。
ビーコン関連は、iOS7でのibeacon機能追加によって俄然盛り上がってきており、estimoteを筆頭として、世界で他にも数社のビーコン端末スタートアップが名乗りを上げています。ビーコン端末それ自体は単なるbluetooth発信器で技術的に特に目新しいものではありません。一方でスマホ側のiOS7の方の機能であるibeacon機能の方が、革新的な機能を提供していると思えます。
ただ、appleがibeacon機能の仕様についての情報公開が限定的なこともあり、現段階では様々な情報が錯そうしています。今は英語での開発者ブログやQ&Aサイトなどで、試行錯誤の結果が報告されているにとどまり、日本語での情報は少ない状況が続いています。また、店舗への導入もアメリカでのapple storeでの導入などが報告されている程度です。
ここで、念のためにibeaconとestimote beaconの言葉の定義を再確認します。
ibeacon:iOS7で導入されたiphoneの機能。bluetoothでの近接通信を利用して、特定のIDをbluetoothで受信することで、対応するアプリを自動で起動する機能。
estimote beacon:estimote社が開発したibeaconビーコン端末。ibeacon機能に対応したIDを発信する。
一般にはibeaconの方が有名なので、ビーコン端末をibeaconと言ってしまいそうですが、ibeaconは端末ではなくiphone内の機能の名称です。
本題:estimote社が提案する4つの新しい形
さて、ようやく本題です。estimote社はibeaconによって次の4種類のサービスが実現することができると言っています。
- Proximity marketing 近接マーケティング
- Check-in Coupon チェックイン・クーポン
- Indoor Location 屋内ロケーション
- Contactless payment 非接触決済
Proximity marketing 近接マーケティング
これは店舗に近づいた際のプロモーション通知です。店舗の前を通過している人にPush通知によるメッセージを送ったり、店舗前でアプリを起動することで店舗に入らず情報を獲得することができるというものです。このProximity marketingは、これまでのGPSやPush通知の組み合わせでも似たような機能実現は可能でしたが、次の点で異なっています。
・ロック状態でも店舗の前にいることが分かる
・GPSでは位置情報の誤差が大きかったが、ibeaconでは店舗の前に限定できる
Check-in Coupon チェックイン・クーポン
チェックイン・クーポン自体は目新しい機能ではありません。foursquareやfacebookなどが実装を行っています。ibeaconならではの特徴としては、GPSよりも精度が高く、店内にいることがはっきりと認識できるという点です。あまり大きな違いではないような気がしますが、特定の産業では効果を発揮するかもしれません。
Indoor Location 屋内ロケーション
簡単に言うと屋内版GPSです。駅ビルなどでは、GPSベースの地図アプリはほとんど役に立たなかったのですが、今後はibeacon機能によってここが大きく変わっていくと思います。欲しい店舗や商品までもう迷うことはありません。
Contactless payment 非接触決済
ibeacon関連で最も大きく騒がれているのがこのcontactless paymentです。騒がれている理由としては決済の市場規模が莫大であるからに他なりません。もしこれが実現するとすれば、appleは、実店舗決済市場を大きく切り崩すことが可能になるでしょう。ただ、私自身としてはcontactless paymentのサービスの実現は難しいのではないかと考えています。理由としては、既にあるNFC(felicaなどのお財布ケータイ)と比べると、スマホ所有者が気づかないタイミングで決済されることになるからです。非接触決済でのibeaconのNFCに対する優位性は、「かざす」手間がかからないことですが、その手間を惜しむシチュエーションが思い浮かびません。逆に決済の不確実性というデメリットの方がはるかに大きいと考えています。
以上、estimote社が提案する4種類の新しいサービスです。屋内ロケーションは都市部や屋内でのGPSを保管する機能として今後普及していくでしょう。それ以外の3つも産業に応じて利用される可能性はあります。
次回はショールーミング化について
当然、これ以外の使われ方も有り得ます。特にこれから来る店舗のショールーム化への重要なツールになるのはほぼ確実でしょう。次回はibeacon機能で、店舗での購買行動がどのように変化するのかを考えたいと思います。
プライメッジ 本部 剛(もとべ つよし)
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