レストランオーナーの皆様で集客に課題がある方は多いと思います。
今回はインターネット経由での集客について書いていこうと思います。
レストラン・飲食店が集客を行う際に、幾つかの方法が思い浮かびます。
まずは、インターネット以外も含む大きな分類から分析して行きたいと思います。
- チラシ
- クーポン型雑誌
- Web(プラットフォーム)
- Web(自サイト)
恐らく上記の3つに代別されると思います。
これを、コスト、集客効果という点で分析したものが下記の図になります。
コスト | 集客効果 | ターゲット | ||
キャッシュ | 労力 | |||
チラシ | ○ | × | ○ | 近隣 |
クーポン型雑誌 | × | ◎ | ○ | 中程度 |
Web(プラットフォーム) | △ | ○ | ○ | 広範囲 |
Web(自サイト) | ◎ | △ | △ | 広範囲 |
これを見ると、2つの点に気付きます。
一つ目はターゲットの違い。もう一つはコストのキャッシュと労力がトレードオフになっている点です。
チラシ
チラシは旧来からある集客方法ですが、効果の高い方法です。
ターゲットが近隣限定で絞られており、キャッシュが余りかかりません。1枚あたり2-3円程度のコストで集客する事が可能です。しかも、お店の前などで配布すると来店率が非常に高いと思われます。
ただ、実際のところチラシを充分に活用できているレストランオーナーの方は多くはないと思います。なぜなら、チラシを配る時間が無いのです。
チラシを配るのに理想的な時間と言えば、朝の出勤時間、ランチタイム、夕方となります。このうちランチタイム、夕方はレストランの準備で忙しく、朝の出勤時間に至っては、仕込みや就寝時間などに充てられているのではないでしょうか。といって、わざわざバイトを雇って配布すると、コストが格段に高くなってしまいます。このような理由から、チラシは有効な集客方法にも拘らず、現実的には中々運用できない集客手段という事がわかります。
クーポン型雑誌
hotpepperなどに代表される、無料のクーポン付雑誌です。
この集客手法では、あまり労力をかけないですむメリットがあります。「労力をかけない」という事は忙しいレストランオーナーにとっては非常に重要な要素です。また、集客できるターゲットはチラシよりも広く、数駅遠方からでも初めてのお客様が来られます。また、お客様は割引に反応してこられている事が多いので、コストパフォーマンスにシビアな層が多い傾向になります。
「数駅遠方から」+「コストパフォーマンス」というのが重要で、交通費以上の価値を割引によって提供しなければなりません。客単価が3000~4000円以上でなければ、この価値を提供できないでしょう。それ以下の客単価の業態が出稿する場合は、割引ではなく料理やサービスが高品質であることをアピールする必要があります。ただ、若干この媒体のターゲット層からはミスマッチかもしれません。
また、クーポン型雑誌は女性に好まれています。クーポン雑誌の中で美容室が高い割合を占めているのもわかりますね。ターゲットモデルとしては、OLがランチタイムや休憩時間に同僚と一緒に読んでいる姿を想像するとわかりやすいと思います。職場での飲み会の場合も、正式なものではなく砕けた打ち上げのようなものであれば、OLがレストランを選んでいる事が多いので、そのような集客としても使えます。
一方でデメリットとしては費用です。費用が高いと感じておられるレストラン・オーナーの方が多いのではないでしょうか。
この高いという感覚ですが、恐らく業態・地域のミスマッチが原因ではないかと考えています。というのは、クーポン雑誌は最も売上の上がる業態のレストランに合わせた紙面づくりをしています。掲載料金も売上が最大化するように設定されています。一方でレストラン側としては業態によって支払可能な広告費用というのは全く違います。例えば座席数100席の店と10席の店でも出稿費用は同じです。一般的には、席数が多く、客単価が高く、原材料費の比率が低い業態の方が、クーポン雑誌への掲載に向いています。また、地域でも、集客力の強い都心型・オフィス街型の方が、郊外型の店舗よりも向いています。
もし、郊外立地で席数が少なく客単価が低い飲食店であれば、クーポン雑誌は良い選択肢とはならないでしょう。
Web(自サイト)
webですがまずは簡単なので自サイトの方から考えます。
自サイトのメリットとしては、一度作ってしまえば労力はほとんどかからず費用もほとんどかかりません。最近では毎月200円程度のサーバーも出てますので、独自ドメインを取得して安いサーバーにアップしておけば月間コストは最低300円ぐらいでOKです。また自サイトの場合全てのデザイン、コンテンツを自由に改変できますので、コアなお客様のロイヤリティ向上に重要な役割を果たします。
一方で自サイトのデメリットとしては、矛盾するように聞こえるかもしれませんが費用です。サイトの初期制作費用とネット広告費用です。
サイトの初期製作に関しては、料金はここ最近どんどん低下して行っています。完全に1から製作するのでも30万円ぐらいの製作費で可能です。また最近ではwordpressというオープンソースCMS(要は無料)が流行しています。wordpressは難しいプログラム不要でwebサイトを構築できますので、がんばって自作すれば費用はかかりません。ただ、実際には時間がないと思いますのでwordpressを利用したweb製作外注で5~10万円になると思います。この初期製作費用に関しては、一度作ってしまえばOKなので、それほど問題にはならないかもしれません。
もう一つのネット広告費用です。こちらの方が深刻です。サイトを作っても検索で上位表示できなければ集客効果0です。上位表示するために費用が掛かります。上位表示させるためには、自然検索とリスティング広告という2つの手段があります。その詳細については後日書きますが、いずれも「レストラン 新宿」などという人気の高い検索キーワードでは、高額な広告費用が掛かります。キーワードの上位表示の順番は簡単に言うと広告費用をたくさん出せたサイトが一番上に来ます。ここで問題なのは、後述の「ぐるなび」等のプラットフォームも同じキーワードでGoogleなどで広告を出していることです。広告費用効率では一店舗単体で出すよりも「ぐるなび」などのプラットフォームが広告を出す方が効率が良いのです。自サイトがGoogle等に広告を出すと、「ぐるなび」などと争う事になり、ほぼ勝ち目はありません。強力なブランドがあれば別ですが、自サイトでのweb広告は厳しいのが現状です。
Web(プラットフォーム)
最後にWebのプラットフォームです。このカテゴリーに入るのは、最大手のぐるなび、食べログ、hotpepperのweb版、そして当社のレストルもここに入ります。
プラットフォーム型の特徴としては、まず非常に広範囲の客層にアプローチできる点です。少し前までは男性ユーザーが多く、女性は上記のクーポン雑誌を好んでいましたが、最近ではスマホが普及したこともあり、女性ユーザーもかなり増えています。また高年齢層のインターネット利用率、スマホ普及率も高まってきていますので今後最も活躍が期待される広告手段だと思います。写真、料理メニュー、地図など詳細な情報を提供可能です。また、レストランオーナーの労力も掛かりません。
また自サイトとの比較で考えると、プラットフォームの方がGoogle等に対する広告効率が良く、結果として多くのトラフィックがあります。ユーザー視点で考えた場合は他店と比較検討する事ができるのが大きな魅力となっています。
プラットフォームは大きく3種類に分けることができます。
- 広告型(ぐるなび)
- レーティング型(食べログ)
- 予約型(レストル)
広告型として、代表的なものはぐるなびです。プラットフォームの中では最も早くから活動しています。従来の紙媒体の広告をWebにそのまましたものです。
広告型の特徴としては、ユーザーよりもレストラン側に近い位置にいます。毎月固定の料金で数千円~数万円の費用が掛かります。店舗からの固定的な広告費用を収入としており、プラットフォームの収益力は非常に高いです。その収益力を背景にGoogleなどに広告を大量に出しており莫大なトラフィックを誘引しています。店舗から広告費を受け取っているため、ユーザーからの批判的な書き込み等を好ましく考えていません。そのためぐるなびでは店舗に対する「口コミ」を投稿できないようになっています。(最近では、対食べログ戦略の一環でメニューに対する口コミはできるようになりました。)ぐるなびに出稿するには一定以上の固定費を支払う必要がある為、すべてのレストランを網羅できないという欠点もあります。
レーティング型として、代表的なものは食べログです。
ユーザーからの口コミを莫大なデータとして持っており、ユーザーからの信頼性が広告型よりも高いのが特徴です。レーティング型は本質的には店舗から料金を取りません。これは大きな魅力です。そのため店舗に対する悪い評価も掲載されます。店舗からの収益が無いため、プラットフォームとしての収益力は低く、サイト内に表示される別サイトへのリンク広告で収益を得ています。そのため食べログ内にぐるなびのリンクがあるという奇妙な構図になっています。費用が掛からないため、全ての店舗を網羅する事が可能です。最近では豊富なデータベースを武器に従来の広告型よりも検索上位表示を達成しています。デメリットとしては、レストラン側からのコントロールが効かない点、またPush型のプロモーションができない点です。莫大なユーザーがいても、そこへアプローチするには、有料になる場合が殆どです。
予約型として、代表的なものは当社のレストルです。
レストランの予約サイトというのは、シンプルなコンセプトながらあまり注目されてきませんでした。アメリカではopentableというサイトが昔から活動しており、最近になって日本に参入してきています。今のところ日本国内では大きなサービス提供者は存在していません。予約型の特徴としては、費用が変動する事です。広告型の費用が月額固定費であるのに対して、予約型の場合は、ユーザーのトラッキング情報が取れるため、予約が成立したものだけに料金が発生するようになります。つまり出稿したけど予約サイト経由で予約が無ければ、1円も払う必要が無いので、小規模の店舗でも無理なく出稿できます。またレーティング型の課題でもあるレストラン側からのPush型プロモーションも可能です。opentableはグローバル、食べログ予約はラグジュアリ、当社のレストルは割引、という風に各社それぞれの特徴をだしており、今後活躍が期待されるカテゴリーになっています。
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